| リッケンバッカー625/1962
リッケンバッカー625/1962
「リッケンバッカー」。なんてカッコイイ響きなのでしょうか。ビートルズに代表されるその特徴あるサウンド、アメリカの楽器であるにも関わらず、イギリス人によって世界中に広められたその独特の歴史や佇まい、決して使いやすいとは言えない構造、どれをとっても心の底から「カッコイイ」と思う楽器です。中学生の頃、授業中に[Rickenbacker]のロゴをノートに落書きした事を思い出します。(気付いてくれていたらうれしいのですが、このホームページのTOPのロゴは、それを思い出してリッケン風に作ってもらったのです)
このギターは、僕が音楽の仕事を始めて間もない頃に見つけた、1962年製の物。しかも、ダブルバイディングがヘッドまで入っているとても珍しいカスタム仕様で、未だに同じ時代の同じ仕様のものを見た事がありません。リッケンバッカーと言えばまず思い浮かぶのがあの「A Hard Days Night」のイントロの<ジャーン>という12弦の音ですが、これは6弦の、しかもソリッドボディの6シリーズというタイプ(12弦の360/12についてはまた別に書きます)。有名な所では、トム・ぺティーやバングルスのスザンナ・ホフスなんかが使っていたのと同じ形のボディです。
リッケンもギブソン/フェンダーと同様本当に良い物はなかなかないのですが、これは当時払える当ても無いローンを組んでまで持って帰って、後で本当に払えなくてカードを止められる程に最高だったのです(その当時の自分的物価での話です。実はそんなに高くない)。シンプルなアンプに直接繋いで、ちょっと歪む位までボリュームを上げ、パワーコードを思い切り弾いた時の感じは、殆ど快感。「ジャリーン」と「グワーン」を足して2で割ったようなエッジの効いたクランキーなサウンドは、ピタピタのスーツでロックするブリティッシュロッカーのイメージそのものです。このギターを弾くと「やっぱりロックミュージシャンは太ってはいけない」と体で感じます。外側サクサク、中はふんわり、という感じの音を生み出すのは、リッケンバッカー独特の、とてもスレンダーでハイポジションまで細いネックや薄いフレット、トースターのようにも見える非力で味のあるピックアップ、そして乾き切ったソリッドボディ。
そして僕が何しろ気に入っているのが、その大きさ。ギブソン系のギターはちびっ子の僕が持つとなんだか縮尺を間違えたみたいに見える上、どうしてもそのギターの高級感に負けてまう気がするのですが、このギターは小さくてとてもかわいいのです。そして僕の持っているギターの中では別格に軽い。そう考えると、実は女の子のギタリストが弾くのにぴったりかも知れません。現行でもこの形は売っていると思うので、お勧めです。実は知り合いの女性アーティストのライブで、アンコール用に一度お貸した事があるのですが、やっぱりかわいかった!しかもジョン・レノンが使っていたようなタイプと比べるとネックがショートスケールではないので、リッケンの中ではかなりまともに使える楽器でもあるのです。
この時代のリッケンバッカーはトーンのつまみが今の物とは逆で、右にいっぱいに回した時に一番絞られる状態、つまり、ゼロの位置がフルの状態と言うことになります。ボリュームは通常の右いっぱいが全開なので、紛らわしいことこの上ないですが、そこがまた個性的に思えてきます。殆どあばたもエクボ状態。そしてこの板バネ式のアーム。殆ど使わないんだけれど、これがまたカッコイイ上に、独特な効き具合で、この感じを知ってしまうと、ロック式のごついアームがサイボーグみたいに感じます。
そんな最高なこのギター、やる曲のタイプにもよりますが、ライブでオールマイティーに、いろんな音色を使うにはちょっと厳しいです。あんまり長いケーブルや沢山のエフェクターを使うと、ピックアップの出力が小さいので音痩せしちゃいます。それにノイズもかなり拾いやすい。他に代わりもないので、信頼性と耐久性という部分も求められるツアーの現場等では、なかなか持って歩くのにも勇気がいります。やっぱりスタジオでアンプ直が一番です。
もうすぐ届く新作「winter」の4曲目、「今すぐに」の左で鳴ってるのがこのギターです。右はレスポールのゴールドトップをマーシャルに突っ込んだ物。僕が弾くからなのか、楽器のせいなのか、やっぱりどこか古臭い音がします。ギターマニア的なヴィンテージ物としては良いのか悪いのか判らないけど、これだけはどんな事があっても手放すまい、と思う一本です。
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