vol.27

ありがとう、高橋ひろさん

先日、友人が亡くなったという知らせを聞きました。高橋ひろさん。41歳でした。一緒にライブをやったり、コーラスやギターで参加させて頂いたりしましたが、ここ数年は会う機会がなくて、どうしているかなあ、と思った矢先の訃報に驚きました。彼はチューリップのメンバーとしても、ソロシンガー、そしてソングライターとしても素晴らしい作品を残したミュージシャンでした。残念でなりません。

僕の記憶では、彼と初めて会ったのは僕がまだ19歳か20歳位の時だったと思います。僕たちの初めての会話は「好きな作曲家は誰?」でした。その当時オールディーズばかり聴いていた僕は「ニール・セダカ」と言い、彼は「バリー・マン」、と答えたはずです。その当時はそんな化石のような音楽を熱心に聴いている友人は殆どいなくて、とてもうれしかったのを覚えています。
僕の記憶は曖昧で、昔の事はいつか見た映画のワンシーンのように断片的に思い出されるのですが、それとは反対に彼はいつでもその日付や場所、会話などを驚くほど鮮明に覚えていました。
きっと彼ならこんなふうに言うはずです。「秀樹と会ったのは19××年の○月○日で、確かあの日は○君の誕生日の前の日だったんだよ。そして正確には僕は『バリー・マン/シンシア・ウェル』ってコンビ名で言ったんだ」。

そんな几帳面な性格と、まるで漫画から抜け出して来たような端正なルックスと立ち振る舞い、年下の僕にさえ「高橋くん」と呼ばせてしまうような気さくさを持った彼は、ミュージシャンとしてだけではなく、一人の人間としてもとても魅力にあふれた人でした。
そんな高橋くんにもう会う事は出来ません。でも、彼の作品が消えることはありません。僕たちはこれからも彼の歌声を聴く事が出来るし、曲が流れている間、彼はずっとその時間を生き続けます。高橋くんの曲を聴く人がいる限り、ずっと彼は生きているのです。
そして僕はこの先もバリー・マンやニール・セダカの曲を聴き続けるし、きっとその度に高橋くんの事を思い出すはずです。「思い出の曲」というのは、こんなふうに生まれるのかもしれません。僕も彼のように素敵な思い出を残せるミュージシャンになれたら、と思います。

高橋くん、沢山の素敵な思い出をありがとう。

 

2005.11.13

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