vol.22

プロセスについて

みんなやっぱりこの時期になると、今年一年を振り返ったりするのでしょうか。僕の場合はものすごく記憶容量が少ないので、ちょっと何か振り返ると大抵失敗したことなどを幾つか思い出して、必要以上に落ち込んだり反省したりしてろくなことにはならないので、敢えてあんまり過ぎたことは思い出さないようにしています。
とは言え、今年は5年振りに自分のアーティスト活動を再開して、納得行く作品を作れたことや、ライブで直接お客さんと時間を共有出来たのは、何と言うか、とても新鮮でした。もちろんサポートやプロデュース等色々な形で今までも続けてきたことだし、スタジオやライブの現場の状況はそんなに変わらないのだけれど、何かが決定的に違うのです。それが何なのかは自分でも良く解らないのだけれど、例えて言うなら冷凍食品と作りたての料理のような感じです。もちろん冷凍だってとても美味しい物もあるし、作りたてなのに身も凍るような料理もありますが、それは味だけではなく、そのプロセスを自分がしっかりと感じられるかどうかの問題かもしれません。
音楽を作って行く過程で自分が考えていた事や感じたことを書いて、その状況をなるべくみんなに伝えられるように、という気持ちからこのホームページを始めて二年が経とうとしていますが、実は一番それを感じているのは自分自身かもしれません。管理スタッフや、更新する度にメールをくれる方、CDやライブの感想を送ってくれる方、励ましや応援をしてくれる方、ちょっと反応に困る方など、それはまるで手紙のやり取りをしているようで、インターネットというヴァーチャルなツールを使うことでも、こんなにリアルなコミニュケーションが取れると言うことが僕にとっては驚きでした。
そしてやはり現実にその過程で出会った人や、その時話した真面目なことやくだらないこと、セッションやライブでミュージシャンやお客さんから感じる熱気、そういう一つ一つのプロセスこそがとても大切な物だということに改めて気付きました。前にも書いたけど、そういう物が僕が音楽を作る材料になっているのです。電子レンジでチンする(ってもう言わない?)だけで食べられる手軽さもあるけれど、作っている人の姿や調理の音、漂ってくる匂い、盛り付けるお皿など、その全てが実は美味しさの一部なのです。
今年はCCCDやら輸入権、違法コピーの問題など、音楽を聴く人達と届ける人達の間にある大きな溝が浮き彫りになった年でもありました。僕達作り手側の人間も、同様に聴く人達も、簡単でお手軽で質の高い物、という「結果」だけを追求するあまり、その中にあるとても大事な「過程」をすっかり忘れてしまっている気がします。でも、一般のレベルでこう言う議論がされたり、そんなことには全く無頓着だった僕でさえ現実問題として考える状況になってきているのは、みんな本当に音楽が大好きで、なくなったら悲しいからなんだと思います。そう考えると、まだまだ日本の音楽事情だって捨てたもんじゃない、という気がしてます。
来年はきっと僕達=音楽が好きな人達にとって、プロセスが結果に結び付く年になるといいな、と思います。良い曲を生み出すために、来年も良い材料をよろしくお願いします。

2004.12.25

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