vol.17

生ビール!?

有里知花ちゃんのレコーディング、いよいよ突入です。曲を仕上げるまでがかなり大変だった上、レコーディングも前日までミュージシャンのスケジュール調整などが続いてドキドキしましたが、良い感じで進んでいます。ちょっとだけネタばらしをしてしまうと、今回のメンバーは僕のレコーディングでも手伝ってもらっているドラムスの棚沢さん、ベースはもはや欠かすことの出来ないリトル・クリーチャーズの鈴木正人君、ギターには僕が10代のころから大ファンだったテキーラ・サーキットの奥沢さん、そしてピアノは初めてセッションに参加して頂くことになった大御所、久米大作さんというジャンルを飛び越えたなかなか凄い組み合わせになりました。今回もどうしてもリズムはみんなで一緒にやりたかったので、多忙なスケジュールをなんとか調整して頂いた皆さんには本当に感謝しています。集まってもらったメンバーはみなさん凄腕のプロフェッショナルなので、ある程度音が決まってしまえば、後はそれぞれがどんなふうにアプローチをしてくるかによって曲のイメージや方向性が固まってきます。僕もコントロールルームとブースの間の通路まで使ってギターを一緒に弾かせてもらいました。考えて見たら5人のパートを分けて録音するには当然ブースも5つ必要なわけで、そんな大きなスタジオはなかなかないので通常はベースとドラムを一緒の部屋で録音するのですが、今回はウッドベースの生音をちゃんとマイクで拾いたい、という理由から正人君にもブースに入ってもらいました。そうなるとブースが足りない!ということで、奥沢さんに僕の居たブース(通路?)に入って演奏してもらうことにしました。こんな時はやはり一緒に演奏したい気持ちと、このメンバーの演奏を聴きたいという気持ちとで揺れ動きますが、奥沢さんの感涙のプレイにそんな迷いはすっかり消えてしまいました。
やっぱりみんなで一緒に演奏すると、何かしら不思議な一体感のようなものが生まれるのです。最近は全ての作業を小さなスタジオや自宅、もしくはコンピュータの中だけで完結させてしまうことも可能なので、一発録りという本来自然な形態が、考えて見たらかなり贅沢なことだとも言えます。
マイクの数も部屋の数も、プレイヤーの数も多いのだから当たり前ですが、こればかりはちゃんとしたレコーディングスタジオで、プロのエンジニアがいなければ出来ません。
皆さんの出す音はさすがに素晴らしくて、知花ちゃんと大盛り上がり。やっぱり僕はスタジオが好きだ!と改めて思ったセッションでした。
どうでもいいけど、このスタジオには何故か生ビールのサーバー(お店にあるようなやつ)が置いてあって、冷蔵庫には良い感じに冷えたジョッキやグラスが沢山入っていました。・・・ものすごく微妙です。ビールは飲みたいけれど、仕事中だし、クルマで来てるし、仮に終わったとしても飲めないじゃん!ということで、リゾートホテルで風邪を引いて寝込んでしまったのと同じ位心残りです。ミックスや歌入れで来た時は絶対に終わった瞬間に飲むことを固く誓ったのですが、ひょっとするとこれがこのスタジオの手なのではないか?という気もしてきました。レコーディングスタジオでジョッキの生ビールを飲むという体験はまず出来ることではなく、あれを見たお酒が好きな人は必ず実行せずにはいられない衝動に駆られるはずです。そう考えるととても新しい。今までリゾートスタジオと呼ばれる郊外の宿泊設備付のスタジオを始め、いろんな所に行ったけれど、生ビールサーバーがあったことは一度もありません。ブースが何畳とか、マイクが沢山とか言うより、スタジオで「生ビールあります」って言われたらとりあえずびっくりします。そういう意味では低迷するスタジオ業界に新たな付加価値を加えたスタジオかも知れません(言い過ぎか?)。とは言ってもビールがあるだけじゃなくて、最新の機器やヴィンテージのマイクなども充実したとても良いスタジオでした。でも次は必ず飲むぞ!

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