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vol.15
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さて、このところレコーディングはぼちぼち進んで来ましたが、どの程度ぼちぼちなのか経過報告しようと思います。
前回同様まずプリプロ作業に入ってテンポや構成を決めて、色々と試行錯誤しながらドラム、ベース、アコギの編成をなんとなく作ります。今回もやはりリズムだけはどうしても一発で、ちゃんとしたスタジオで録音したかったので、みんながどんな演奏をするか、大まかな部分を決めておくのです。こういうのを「ヘッドアレンジ」と言ったりしますが、僕の場合ヘッド=頭と言うより手とか足とかの部分に気が行ってしまったりする事もあるので面倒です。この前のセッションでは僕がやたらにシンバルの音色を気にしていたので、ドラムの棚沢さんは新しいシンバルを用意して来てくれました。とてもうれしいです。が、こういう事がエスカレートすると、そのうち誰もセッションに来てくれなくなるので気をつけなくてはいけません。
一通りプリプロをして全体像が見えて来たところで、レコーディングスタジオへ。今回は色んな裏技を使って僕が師と仰ぐ日本のトップエンジニア、山内さんにお願いする事に成功したのですが、その流れで山内さんのホームグラウンドであるサウンドインスタジオを使わせてもらう事になりました。久々に来たのですが、広ーいです!自主制作なのにこんなとこ使っちゃって大丈夫なの?と心配してくれる方もいると思いますが、はっきり言って大丈夫ではないです。出来ればもう10枚くらいずつCDを買ってくれると助かります。
ここはブースがいくつも別れていて、僕の場所は高い天井に向かって階段を昇った所に在る個室です。写真を見てもらうとわかりますが、僕はテレビを見ながらくつろいでるわけではなく、階下の様子がカメラを通して映るようになっているのです。当然僕の姿もコントロールルームのモニターに映っているので、個室だからといってこっそりビールを飲んだりする事はできません。一発録りの場合、やはりどんな形でも一緒に演奏する人の姿が見えた方がやりやすいので、これはなかなか便利です。
そして音決め開始。やはりこれくらいの広さのあるスタジオだと、ドラムの鳴りがかなりマイキングで作れます。音決めって言うとシンセの音を選んだり、エフェクターをかけたりして作り込んで行くイメージですが、このところの僕は生の音や残響を拾う事の楽しさを改めて感じていて、マイクの位置やヘッドアンプの種類で音を作ってもらいます。あんまりイメージが湧かないかも知れませんが、その部屋の広さや鳴り、マイクの種類だけでかなり音の感じは変わります。それは水や白い御飯のような物で、シンプルだからこそ奥が深い物なのです。どんなにおいしい御飯も、水が悪かったり、炊き方を間違えるとだいなしです。職人山内師匠は驚くべきスピードでマイクを選択してしかるべき場所に立て、数回リハーサルをする間にその曲の感じや僕のイメージを汲み取って、殆ど何も言わないうちに80%位の音作りが出来上がってしまいます。こういうのを以心伝心というのでしょうか、長い付き合いの賜物です。しかし、これが後からダビングをする時に難関になって来たりします。前回もそうでしたが、元のクオリティーが身分不相応に高いと、へなちょこな僕が後から重ねるのが難しいのです。間違えると山の中を分け入って探し当てた湧き水でさらした蕎麦に、立ち食いのコロッケを乗せるような事になりかねません。しかしそんな事を考えていても仕方がないので、なるべく良い音で、良い演奏をする事に専念します。音が良いと、必然的に演奏も良くないと気がすまなくなって来るのですが、その点棚沢さんと小山君は素晴らしく、プリプロ時よりも格段に味の在るノリを出してきます。後は自分が納得出来るかどうか。こればかりは一発録りである以上同じ演奏はないので、選択するのに客観的な視点が必要になって来ます。個室から下りて来る度にモードを切り替えねばならないのですが、そんな事が出来る様な境地にはまだまだ達していないので、みんなの意見を聞きつつOKテイクを決めます。後で「やっぱり前のが良かったかも」なんて思ったりするので、迷いを断ち切るため必要な物以外は消しちゃいます。これでもう後戻りは出来ません。
そして何とかリズムトラックの録音は終了!かなり良い感じで録音出来ました。予選1位通過的な清清しさを感じつつ、データをハードディスクに移してもらいます。が、これからが本当の勝負です。この土台にどんなふうに音をのせて行くか、色んな事を試しながらダビングをして行きます。そしていくつか作業が進行したところで、今歌詞の詰めにかかっている最中です。散々悩んで書いて、そしてまた悩んでを繰り返していますが、なかなか納得行く物が出て来ません。いったいあとどのくらいでこの洞窟から脱出出来るのかわかりませんが、ひたすら待つしかありません。次回通信までにはなんとかしたい!出てこい、歌詞!
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