vol.14

副産物

久々に出した「winter」の評判が思いのほか良かったことに気を良くして、このまま早速次の作品に取りかかろうと思いレコーディングを始めてみました。が、早速煮詰まりました(早過ぎか?)。
もともとそんなに沢山作り続けるのが得意ではないくせに、勢いでやろうとしてしまったのが良くなかったらしいです。自分の身の程をわきまえないといけません。
曲は「winter」の時の様に今までの物を全部棚卸しする必要がないので、書きためていた素材や新しく作ったものをもう一度聴き直して、やりたい曲を選んで行くのにそんなに大変ではなかったのだけれど、いざスタジオに入ってみると、どうにも上手いフレーズや言葉が浮かんで来ません。
しばらく放っておくと、コロっと何か思いついて、「これだな!」なんて気持ちになってすっかり元気になってしまったりするのですが、その「コロっと何かが思いつく」確証が全然ないのが辛い所なのです。そんなわけで、只今作業はあんまり進んでいません(断言)。
そもそも普通はレコーディングの様子なんて、かなりカッコイイ所を抜粋して報告するのがミュージシャンの常なので、そういう時の事を書こうと思っていたのですが、いつになるかわからないのであきらめてこれを書いている次第です。
いや、厳密に言うと、曲は作れるし、歌詞も書けるし、アレンジだって出来るのですが、納得行く物が出来ないのです。コロッケを揚げるという行為は誰にでも出来るけど、おいしいコロッケを揚げるのは人それぞれに苦労があるのと同じです。
散歩をするとか、本を読むとか、お風呂に入る、もしくはひたすらお酒を飲む等、人はそれぞれ、そういう時の対処法を無駄な努力と知りながらある程度身に付けているみたいですが、そんな時僕の場合はしばしば料理を作ったりします。どうして料理を始めるのかは謎ですが、「何か作らなくちゃ」という気持ちの行き場を食べ物に置き換えてバランスを取ろうとしているのではないか、という自己心理分析をしてみました。現実逃避って事かも知れません。
料理の良い所は材料と作り方を一度覚えてしまえば、あまり失敗することがない事です。作っている間は無心になれるし、そこそこに物を作った達成感や、満足感、それに食べれば満腹感も味わえるという点で、趣味、と言うか逃げ場としてはかなり都合が良い。そんなわけで、僕の書く文章にはやたらに食べ物が出て来ることになります。
一時は料理の本を買い込んで、鍋やらフライパンも揃えて食材を買いにスーパーマーケットをはしごしたりもしていたのですが、本当の所、作って食べてしまえばどんな物でもそんなに気持ちに変わりはありません。でも仕事がなかなか進まなくて悩みはじめると、その度合いによってどんどん手間の掛かるものを作らないと気がすまなくなって来ます。一種の病気みたいなもので、それはどんどんエスカレートして行く傾向があるのです。そういう状態で作った料理が上手く行った時は良いのだけれど、大失敗をしたりすると、もう手がつけられません。何もかもやめて北国行きの列車に乗り込んでしまいそうな絶望的な状態に陥ります。やはり何ごとも行き過ぎるのは良くありません。
果たして次のCDが出来上がるまでにどのくらいの副産物が生まれるのかわかりませんが、「現実逃避料理」としてそのうち紹介しようかとも思います。そんな事してる暇があったら1曲出来るだろう、とも思うのですが、なかなか難しいもんです。

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