vol.7

さて、今回は重要な通信事項が在るのです。HOWの解散からしばらくは、色々とサポートやプロデュース活動などをして過ごしていましたが、そろそろ本業のアーティスト活動を再開すべく、自分の作品の制作も始めます。「はやく自分のCD作れ」とか「ライブやれ」、「人のもいいけど自分のも」などと散々言われておきながら沈黙していたのにはいろんな理由があるのですが、やっと自分の中でいろいろな事が純粋に「自分の音楽」に向かってきた、というのが正直な所です。
HOWとしての作品や、今年4月にリリースされたコンピレーションの1曲を除けば、前作から約5年。長いか短いかはわからないけれど、僕にはそういう時間が必要だったのです。
まだいつの発売になるか、どんな形になるか等全く決まっていませんが、約束出来るのは「自分が選んだ方法」でやる事です。今まで僕が経験してきた全ての枠組みを、もう一度考え直してみようと思っています。
今回始めるにあたって考えたのは、日常的に音楽を作る、ということ。僕は基本的に毎日何かと音楽と接しているし、音楽の事を考えています。まあ、ミュージシャンだから当たり前なんですが、今まで僕が経験したローテーションで考えると、シングル〜プロモーション〜アルバム〜プロモーション、ライブ、みたいな流れが一区切りになって、それが終わるとまた次の曲作り、という感じでした。でも考えてみたら今の僕が音楽を作る上では、別に発表するものがシングルである必要もないし、アルバムである必要もないのです。今までは何となくそういう「枠組み」の中でやってきた事を考え直して、自分のペースで作って、出来たらその時に出して行く、そしてその積み重ねが「アルバム」になればいいなあ、と漠然と考えています。そう考えたら、なんだかそれが本当は一番自然なんじゃないかという気もしてきました。
もちろん色々な人達とのサポートやプロデュース活動等もやって行きたいし、そういう活動の中から感じる事や、生まれてくる物もある(っていうかあって欲しい)と思います。
今までいつもどんな風に録音したのか、その時何を考えていたか、等を記録しておけば良かったと後になって思う事が多かったので、このページが振り返って眺めた時に色々な事を思い出したり、その時の気持ちや感覚が戻って来る「アルバム」の一つになるような、そんな風に出来たらいいなと思ってます。実はもうリズムだけは録音してみた所なのですが、今までの流れを忘れないうちに書いておきます。

今回録音するに当たって、今まで書きためていた素材や、きちんとプリプロをしたもののそのままになっていた曲を聞き直して、ちゃんとした形にする事から始めました。MDにいっぱい入っている物の中には、一応曲になっている物から、フレーズだけとかコード進行とリズムだけ等いろいろあって、この作業を始めると大掃除とか棚卸しとか確定申告みたいな気分です。「もっとちゃんと整理しておけば良かった」と聴きながら50回位思いました。最近はパソコンにそのまま取り込んでしまったりしているので、メロディーの断片がハードディスクの中にも埋もれていたりします。
そんな中から「なかなか良いかも」と思った物を見つけて、足りない物を作ったり、どこかから持って来たりという思考錯誤を繰り返します。メロディーが全部出来たら今度はテンポやキーを仮に決めて、クリック(メトロノーム)に合わせてイントロからエンディングまで一度録音してみます。そうする事で全体が少し見えて来ます。ここまで来て思ってた程良くなかったという事も多々あって、ちょっと落ち込みます。「なかなか良いかも」とこの時点でも思った物は一応簡単な構成を譜面に書いて、その時思い付いたコードの押さえ方とかを書いておきます。何せ僕は物忘れが激しいので、後から聴いて自分コピーをしようとして、どんなコードフォームを押さえていたか判らなくなっちゃったりするのです。そして仮タイトルも付けます。今回[song#1]とかいうのは後でまた判らなくなるので何でもいいからいい加減につけました「ロック54」とか(ひどすぎか?)。
その結果今回録音するのは4曲(今のところ)に決めました。なんだか中途半端な曲数ですが、あまり気にしない事にします。そしてある程度のデモを作って、プリプロを決行。いつものメンバー、小山君と棚沢さんに来てもらって、リズムパターンとか、音色とか、フレーズなどをいろいろと試しながらセッションをして、こんな感じで行こう、というひな形を作ります。僕は他の人のプロデュース等をする場合は、その人がどんな感じを求めているのか、よく話を聞いてキーポイントを探したりするのですが、自分のイメージを人に伝える側になるとかなりわけの解らない事を言い出します。今回も「リハスタにあるドラムのダメな感じのチューニング」とか、「山小屋で演奏してる感じ」とか意味不明な事を言い倒してしまい、みんなを悩ませました。どうしてこうなるのかよく解らないんだけれど、やっぱりモードが切り替わってしまうみたいです。
そしてようやくスタジオに突入。僕の場合、録音に入るまでが実は結構大変なのです。というのも、リズムが一度に録れるような大きなスタジオを使うととてもお金が掛かるので、自分でレコードを作る場合はなるべく早く済ませたいから、というのが本音です。打ち込みでやってしまえば良いというケースもあるけれど、今回僕がやりたい曲はどうしても生楽器が大切なのです。僕は基本的に録音も自分でするのですが、こと大きなスタジオで録るとなるとやっぱり手が届かない領域があるので、プロのエンジニアさんにお願いすることにしました。今回は有里知花ちゃんのレコーディング等でお世話になった関口さん。勉強のためマイクの種類や立て方、機材のセッティング等をこっそりチェックします。「なるほど」と思うのですが、いざ自分でやろうとすると絶対違う事になります。そこがプロの領域。逆に言えば、クオリティーは別にして僕が録るとなんだか僕の音になる、という事でもあって、そこがレコーディングの面白さだったりもします。
ひとまず4曲分のリズムトラック(ドラム、ベース、アコギ)を一緒に録音して、この先どういう感じで作業を進めるか、というところで知花ちゃんのライブや今回のジャケットの打ち合わせ等が入ってしまい、ちょっと中断。そしてこれから続きを再開、という所です。歌詞もまだ完全に出来上がっていないので、いろいろと考え中。
僕の場合、曲が先に出来ることが多いのですが、たまにメロディーと言葉が一緒に出てくる事もあります。そういう物が一番自然だったりするのですが、それを元に考えてるうちにどんどん変わって行って収集がつかなくなったりもします。よく「どうやったら曲とか詩が作れるの?」と聞かれるんだけれど、正直に言うとそれだけはよく解りません。するする思い付く事もあるし、何日かかっても全然出来ない事もあります。それは釣りとか、落とし物を探しているような感じに似ていて、いつ魚が引っ掛かるか、どこに落とし物があるか、さっぱり見当が付かないけれど、取りあえず探しに行くしかないのです。引っ張りあげてみると、それはただのゴミだったり、見当違いな物だったりします。そう考えると、アーティストって言われる人達(自分もか?)はひどく浮き世離れした仕事をしていると言えます。僕はプロデュースやアレンジといった、その落とし物を組み合わせたり、釣れた魚を料理する事で一つの作品に仕立てる方法をいろんな人に教えてもらってきたのでなんとかやって来れたのですが、自分の作品となるとどうしたものだか途方に暮れる事も多々あります。頼りになるプロデューサーは本当に有り難いです。今まで僕がお世話になった人達は、例えば間違えてアーティストが釣り上げちゃって困っている不気味な深海魚でさえ、新しい料理にしてしまうような人達でした。今回はセルフプロデュースなので、謎な素材はひとまず放ってありますが、そのうち誰かにお願い出来るようになったら、そういう物も発掘してもらえるかも知れません。
いま作っているのがどんなレコードになるのかまだちゃんとはわかりませんが、納得行く形に仕上がったら出そうと思います。お待たせしている間、このページを見て暇つぶしをしてもらえれば、と思います。


             2003.12.07

vol.31
vol.30
vol.29
vol.28
vol.27
vol.26
vol.25
vol.24
vol.23
vol.22
vol.21
vol.20
vol.19
vol.18
vol.17
vol.16
vol.15
vol.14
vol.13
vol.12
vol.11
vol.10
vol.9
vol.8
vol.7
vol.6
vol.5
vol.4
vol.3
vol.2
vol.1
 ↑ページTOPへ
Copyright © 2003-2008 ourhouse, All rights reserved.