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『ラズベリーズ』
ラズベリーズ

エリック・カルメンと言えば「オール・バイ・マイセルフ」などのスケールの大きいバラードで有名ですが、彼のキャリアのスタートになったこのバンド、ラズベリーズにはその美しいメロディーラインに加え、ロックバンドならではの若々しさと激しさが同居した独特の魅力があります。クラッシックのロマンティシズムとロックン・ロールのパッションを詰め込んで爆発させたようなサウンドは、とにかく胸やけするくらい濃密なのですが、このバンドでしか味わえないその世界は、一度はまるとクセになります。
美しいメロディーとバンド・サウンドの融合という点で「パワー・ポップの元祖」などと言われる事もあるようですが、高度に洗練されたソングライティングと独特のヴォーカルとが、演奏や展開のダイナミックさとぶつかり合うことで生まれるそのテンションは、他に似ているバンドを思いつきません。
グラム・ロックのようなギターのリフから始まったかと思うと、突然メロウで美しいメロディー・ラインが押し寄せて、まるでジェットコースターのように展開していく1曲目の「ゴー・オール・ザ・ウェイ」を始め、エリック・カルメンのソングライティングの素晴らしさを実感出来る名曲「さよならは言わないで」などはこのバンドの魅力を凝縮したような作品ですが、特にアルバム最後の「アイ・キャン・リメンバー」は8分を超える大作。これでもかと言わんばかりに1曲の中に次から次へと違う展開がやって来て、この1曲だけでも3曲くらい聴いたのと同じような気分にさせてくれます。ファーストにしてこの「組曲」と言ってもいいような作品をやり切ってしまうあたりには、やはり強烈な才能を感じずにはいられません。
最近、オリジナル・アルバム全てが紙ジャケで再発されましたが、全体的に「濃い」味のエリック・カルメンのキャラクターを他のメンバーの作品が上手く中和していて、ベスト盤とはまた違う、オリジナルアルバムならではの良さが味わえます。ちなみに当時のアナログ盤におまけでついていたラズベリーの香りがするシールも復刻。最近の再発にはこういう遊び心があるのがうれしいです。

 

 

 

ラズベリーズ/ラズベリーズ

ラズベリーズ
『ラズベリーズ』

EMI ミュージック・ジャパン
CD
TOCP-70206
¥3,000(税込み)


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