『細野晴臣トリビュート・アルバム -Tribute to Haruomi Hosono-』
V.A.
国内のみならず、海外からも細野晴臣さんをリスペクトするアーティストが集合して作られたこのコンピレーション、2枚組のヴォリュームですが、それぞれのアーティストの持ち味が存分に生かされていて、全く飽きずに聴くことの出来る作品集になっています。
ちょっと前までは洋楽ファンと邦楽ファンの間には大きな壁が存在したような気がしますが、このトリビュート・アルバムの楽曲を聴けば、もはや僕たちの音楽に国境など存在しないことがわかります。そして、そんな現在の音楽シーンを築いた一人が細野晴臣さんであることは間違いありません。もはや邦楽という枠組みの中には収まりきらないオリジナリティーを持ったアーティストたちが集まって、その先駆者である細野さんの楽曲をカヴァーしたこのアルバムは、違う視点から見れば、現在の日本のアーティストの持っている底力のようなものを感じさせてくれるCDだと思います。オリジナルからは想像もできないアダルトなアレンジに生まれ変わったリトル・クリーチャーズによる「ハイスクール・ララバイ」、原曲の良さを損なわずに細野さんのエッセンスを再構築したような高野寛+原田郁子の「終わりの季節」、タイトルに沿ったかのように無国籍な質感を漂わせるジム・オルークとカヒミ・カリィによる「風来坊」など、聴きどころ満載です。
もちろんゆかりの深い国外アーティストの作品も素晴らしい出来映え。特にヴァン・ダイク・パークスの「イエロー・マジック・カーニバル」は圧巻の一言で、個人的にはこれを聴けるだけでも十分に価値のあるCDです。
ウッドストック・ヴェッツという名前で録音されている「蝶々さん」も、ジョン・サイモン、ジョン・セバスチャン、ジェフ・マルダー、ガース・ハドソンなど、伝説的なウッドストックのべテランミュージシャンたちによる最高のグッド・タイム・ミュージックに仕上がっています。アルバムの最初と最後には細野さん本人による未発表音源も入っていて、ファンは必聴です。
それにしても、一人のアーティストから生み出された作品であるにも関わらず、いろいろなアーティストがカヴァーすることで見えてくるその幅の広さと懐の深さには驚くべきものがあります。ルーツ・ミュージックはもちろん、アイドルへの提供曲、アニメの主題歌からエレクトロニカまで、彼の旅してきた音楽の世界の広がりはとどまることを知りません。きっとこれからも、その旅はずっと続いて行くような気がします。
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