『ソリッド・ステイト・ウォリアー』 ロジャー・ジョセフ・マニング・Jr
僕の大好きだったバンド、ジェリーフィッシュ。60年代から脈々と流れるポップスの黄金律を、新しい感覚で圧縮して爆発させたような素晴らしいバンドで、当時は自分もラジオ番組などでかけまくって応援していました。ほぼ同じ時代に、海の向こうでも同じような音楽が好きでそれを形にしているミュージシャンがいることが凄くうれしかったのですが、本国ではあまり芳しい評価が得られなかったらしく、解散してしまった時は本当に残念でした。これはその中心人物だったロジャー・マニングの初のソロアルバム。噂は聴いていたし、良い作品であることはわかっていたのでちゃんと聴くのが遅くなってしまいましたが、やはり、文句なく素晴らしいアルバムでした。
そもそも比較をしてはいけないものなのかも知れないけれど、ジェリー・フィッシュのまさに「おもちゃ箱をひっくり返した」ような勢いにに比べると、今回の彼のソロ・アルバムはちょっと大人になった印象です。でも、それはおとなしくなったというよりは、より深く熟成されたという感じ。ジェリーフィッシュのファンなら、間違いなく気に入るはずです。なによりうれしいのが、彼が僕達の期待に真っ向から応えるような王道のアルバムをまた作ってくれたことです。ジェリーフィッシュ解散後はインペリアル・ドラッグやムーグ・クックブックというバンドを結成したり、ベックのサポート・メンバーなどでも活動して来たのですが、そんないろいろな経験や音楽的変遷を経て発表されたこのアルバムを聴くと、もう一度ジェリーフィッシュの「あの感覚」が帰ってきたような気持ちになります。伝統的なロック、ポップスの手法を知り尽くした上で大胆に再構築し、その中に確実にオリジナリティーを感じさせてくれる才能は、僕の中ではスクイーズやXTCなどに続く血筋のようなものさえ感じさせてくれます。育ちのわかる音楽、とでも言うべきこのアルバム、全てのロック/ポップス・ファンにおすすめ出来る一枚です。
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