『 アンダー・ザ・カヴァーズVOL.1 』
マシュー・スウィート&スザンナ・ホフス
最近よくトリビュート・アルバムなんていうのが企画されて、いろんなアーティストがカヴァーバージョンを出しているけれど、僕はそういう安易に企画されたものがあまり好きではありません。
もちろん素晴らしい作品もあるけれど、トリビュートなんて言いながら、オリジナルに対する理解も愛情のかけらも感じられないものが数多くあって、なんだかトリビュートって名前を変えた楽曲の再利用みたいな気がするからです。そんなふうに感じていた中、最近聴いたこのカヴァーアルバムはすごく良かったです。名盤「ガールフレンド」で一躍パワーポップの立役者になったマシュー・スウィートと、「マニック・マンデー」などのヒットで知られるガールズ・バンド、バングルズのヴォーカリストでもあったスザンナ・ホフスという二人のアーティストによって作られたこのアルバムは、二人がいつかやってみたいと思っていた曲にストレートにチャレンジしたという感じで、彼らの音楽に対するリスペクトや愛情がひしひしと感じられます。 まずはその選曲のセンスが素晴らしい。ビートルズからは「アンド・ユア・バード・キャン・シング」ビーチボーイズからは「ザ・ウォームス・オブ・ザ・サン」という、ちょっとひねりが効きつつもマニアックになりすぎない絶妙な選択。その他にもニール・ヤングの「シナモン・ガール」や、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「サンデー・モーニング」、ストーン・ポニーズやゾンビーズなど、音楽好きのツボを押さえた曲ばかり。どんな曲をどんなふうにカヴァーするかでそのアーティストの本質がわかる、というのは定説ですが、裏を返せばアーティストにとってはその曲が好きなら好きなほど、カヴァーするのは相当に難しくなってきます。なにしろ自分の好きな曲の、好きな部分をなくしてしまったら意味がないし、かといってそのままコピーしても仕方がない。どちらにせよ、僕にとって良いカヴァーというのは、その曲の「大切な部分」がしっかり体に染み込んでいる人でなければ出来ないような気がします。きっと二人は「この曲のここが良いんだよ!」とか、「そう!よくわかってるわねー」なんて言いながらレコーディングをしたのではないか、と思われます。
このアルバムに取り上げられている曲の多くを知っている人には、この二人がどのくらい音楽が好きで、聴き込んでいるかはすぐにわかるはずだし、初めて聴く曲がある人には、オリジナルを聴いてみたいと思わせるに充分な魅力を持った、60’s、70’sの音楽への道しるべになるはずです。マシュー・スウィートもスザンナ・ホフスも大好きなアーティストですが、改めてこの二人とは絶対に友達になれる、と思わせてくれた1枚です。
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