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『ザ・ビートルズ‘65 BOX 』
ザ・ビートルズ

 楽しみにしていたビートルズのボック・スセットの続編が(既に輸入盤や、輸入国内盤で)出ました。Vol.1の紹介をした時にも書きましたが、今までCD化されていたビートルズの音源は基本的にイギリスオリジナルのものが正規盤扱いになっています。つまり、この音源は当時のアメリカの人たちにとってのオリジナルという事になりますが、かなり音や編集に違いがあります。もちろん僕はビートルズが大好きだけれど、資料的な部分やマニアックな研究にはあまり興味がないので、今回はごく個人的にこのボックスを聴いて感じた事を書こうと思います。
  簡単に言うと、音楽も時代と共に大きく変革して行く時期にアメリカではビートルズがどのようにとらえられていたのか、今このボックスを聴く事でそれがおぼろげに見えてくるような気がしました。1964年、65年の2年間で4枚組のボックスが二つも出来てしまう事を考えると、その活動の密度、スピードに改めて驚きますが、同時にレコード・メーカーも全力でそれまでのシステムをビートルズにも当てはめ、編集したり音を変えたり、売れるうちに何でも売っちまえ、という感じで事を進めていたのもわかります。『ヘルプ!』というネガティブなタイトルの作品も完成度の高い娯楽映画のサントラに仕立て上げ、ジャケットも『ラバー・ソウル』以外はオリジナルとは全く別。モノラル音源を無理矢理ステレオにしたり、沢山リバーブ(エコー)をかけたり、ある意味やりたい放題です。そこにはイギリスの労働者階級の匂いも、リバプールの景色もあまり見えてきません。でも、そんな強引なやり方が良くも悪くもアメリカ盤の特徴であり、そのインパクトがあったからこそ、より多くの人に受け入れられた部分もあるような気がします。
  アメリカ盤の音は僕に「ジュークボックス」のイメージを思い起こさせます。キラキラと光る七色の電飾が施された、大きなジュークボックス。ハンバーガーやアイスクリーム、大きなテール・フィンのついたクルマ達。そんな景色が浮かぶ音なのです。
  アメリカの国内情勢はこの頃から不安定になりつつあり、自由で豊かなイメージにほつれが出て来た時代。この後ビートルズはコンサートを止めてスタジオで実験的な音楽にアプローチし始め、アメリカはベトナム戦争という泥沼に突入します。当時のアメリカの人たちはそんな状況の中、イギリスからやって来た強烈なインパクトを持った4人組に変化や革新の期待をしつつも、同時に彼らをなんとか旧き善きアメリカのルールの中に繋ぎ止めようとするジレンマの中にいたのではないか、と思ったりします。
  時間の流れにそってアーティストの作品やその時代の動きを感じられるのは、こういう「箱もの」ならではの楽しみです。一枚一枚をじっくり聴くのも楽しいですが、たまには1日かけてこういうボックスを聴いてみるのも良いのでは、と思います。きっと何か今までとは違う、新しい発見があるはずです。

 

 

ザ・ビートルズ
『ザ・ビートルズ‘65 BOX』

東芝EMI
CD(4枚組)

TOCP-70031〜4
\10,000(税込み)



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