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『 トライ・ホイッスリング・ディス 』
ニール・フィン


 ポップス史に残るであろう名曲、クラウデッド・ハウスの「Don't Dream It's Over」が、この人が書いた作品の中では最も有名な曲だと思いますが、このアルバムはそのエッセンスや、彼の変わらない音楽に対する姿勢のようなものをより深く感じられる作品だと思います。
  実を言うと、このアルバムばかり聴いていた時期がありました。僕が初めてのソロ・アルバム『Believe』を作っていた時です。今気がついたんだけれど、この『トライ・ホイッスリング・ディス』は、僕と同様彼も兄であるティム・フィンと活動を共にしたクラウデッド・ハウスの後、初めてリリースしたソロ・アルバムだったのです。何かそういう同じような空気感を、不思議とどこかで感じていたのかも知れません。彼のバンド、クラウデッド・ハウスは好きだったのでニール・フィンという名前は知っていましたが、聴いた途端どっぷり浸かってしまい、しばらくはこれしか聴く気にならなかったほどです。その印象は僕の好きなレコードの例にもれず「地味」なのかもしれませんが、ポップなんだけれど明るすぎず、湿っても乾いてもいない独特の物。優しさと力強さが同居する、ほのかに憂いを帯びた歌声、そしてそれを躍動的に聴かせるチャド・ブレイクやミッチェル・フルームというポップス職人達による見事なプロダクション。そこには「誰々が参加」、とか「元クラウデッド・ハウスの」などという言う「売り文句」を静かに拒絶するような筋の通った完成度があって、僕自身人に聴かせる時になんて説明して良いのか難しい作品です。でも、その難しさこそがこのアルバムを僕の中で特別な物にしているのかもしれません。
  誰にでも勧められるような類のレコードではありませんが、聴く人を選ぶであろうこのポップ感覚は、いつもこのコラムを読んでくれている方々には是非体験して欲しいです。

 


ニール・フィン
『 トライ・ホイッスリング・ディス』
      

東芝EMI (国内盤は現在生産中止)
TOCP-50551
\2,548(税込み)



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