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『ターザナ・キッド』
ジョン.セバスチャン


 うれしい紙ジャケでの再発になった「Mr.グッド・タイム・ミュージック」、ジョン・セバスチャン。彼はラヴィン・スプーンフルを始めとして数々の名曲を世に送り出して来た人ですが、その中でも僕が好きなのが1974年にリリースされたこの「ターザナ・キッド」。エイモス・ギャレットやローウェル・ジョージ等の豪華なメンバーと共に作られたこのアルバムは、僕の好きな他の多くのレコード同様、はっきり言って地味で、サウンド的なギミックや作り込んだ要素は全くありませんが、嫌な事があって何にもやる気にならない時なんかは、ビールでも飲みながらこのレコードを聴くと(しかも昼間から)、多分些細な事はどうでも良くなると思われます。
僕はこのレコードを聴くと、いつも憧れというか、何か羨ましいような気持ちになります。どうして羨ましく感じるのかは、きっとそれが彼の生き方、ライフスタイルがそのまま音楽に反映されているような気がするからです。きっとこのレコードはゆっくり時間の流れる場所で、気の合う仲間達とリラックスした雰囲気の中で演奏されたのだろうと思うし、彼のいる場所にはこういう空気が自然に流れていて、きっと選挙カーの名前の連呼とか、ヒステリックな言葉や気の滅入るようなニュースなんかは流れていないのです。ひょっとすると流れているのかも知れないけれど、どちらにしろ彼の音楽にはそういう物が全く似合わない。
もしも今あなたのいる部屋の空気がぎすぎすしていたり、どうも気分が晴れない時は、このアルバムを是非かけてみて下さい。きっとしばしの間「まあ、いいか」的な気持ちになれるはずです。
彼の音楽には強烈な「衝撃」や「感動」はあまりないかもしれないけれど、気持ちに「余裕」を持たせてくれる何かがあるのです。
それともうひとつ付け加えるなら、僕はよく言われる「音楽が好きな人に悪い人はいない」という意見には経験上100%賛同出来ないけれど、「ジョン・セバスチャンが好きな人に悪い人はいない」というのになら、かなり賛成出来ます。


ジョン.セバスチャン
『ターザナ・キッド』

ヴィヴィド CDRATCD-4234¥2,625(税込)



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