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『確かな光』
高野 寛


 光を放つ人間は「光」を知っている人です。それは僕達の行く先を照らす事もあれば、眩しさでそれを遮る事もある。このアルバムには高野寛という一人の音楽家が放つ優しく、そして力強い光がちりばめられています。
高野さんはきっといろんな物事から様々な光を浴びて、それを吸い込んで来た人なんだと思います。シンプルな、そして心のこもったアコースティックで奏でられる1曲目を聴けば、彼の中にあるその光の温度や色、そしてそれが照らす風景や匂いを感じる事が出来るはずです。眩しい朝の光や、穏やかな午後の日射し、月や星の光。
僕は色々な仕事やお付合いの中で高野さんを知っているし、その音楽や人となり、物事の感じ方や考え方に共感出来る部分が沢山あリます。柔らかな視線で鋭く本質を見抜くプロデュース感覚、執拗なまでのこだわりを作品に注ぎこむミュージシャン魂、ナタリー・ワイズでの活動のようなジャンルの垣根を突き抜けるチャレンジ精神。そしてその全てを楽しめる遊び心。今回のアルバムからは今まで以上に、いや、今までになくそんな彼の人柄というか、生き方を感じます。この音楽は僕の知っている高野寛そのものである、と言っても良いかも知れません。
僕はこのアルバムを気に入ったと言うよりも、感動したと言う方が良いかも知れません。大げさに思えるかも知れないけれど、それは激しく心を動かされるような類の物ではなくて、何度か聴くうちに心の奥の深い所に降りて来て、静かに根をはっていくような、息の長い感動なのです。もの凄く空が青くて、それが何故か泣けて来るような、そういう感じ。その感覚は僕の好きなシンガー・ソングライター、例えばジェームス・テイラーやジョージ・ハリスン、ポール・サイモンなんかのレコードを聴いている時に似ています。
ほぼ同じ様な時代を過ごして来たミュージシャンである僕にとっても、いろんな意味でこのレコードは「確かな光」になってくれるような気がします。

高野寛 
『確かな光』

ファイブディー CD
GSCA-6003 
¥2857(税抜き)


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