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ニール・ヤング
『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』


 僕はロック好きの人達だけのためにこの原稿を書いているわけではないので、もしかするとグラビア・アイドルのDVDを買いに来たついでにもらったこの本を読んでいる青年が聴く気になって、その結果ロック好きが高じて会社を辞め、単身渡米して自由な人生を生きるような事になったら素敵だなあ、などという事を時々考えたりします(考え過ぎか?)。
  今時このレコードを聴いて人生が変わるような時代錯誤な人はなかなかいないとは思いますが、有名大学?大きい会社?突然音楽事務所という極めてロックな人生を送っている僕のマネージャー(もうすぐ50歳)曰く「音楽人生の故郷」と言う1枚。決してカッコイイとは言えないルックスや、美声と言うには程遠い個性的な声、そして時代の流れの中で必然的に生まれて来たような作品。
  そう考えるとニール・ヤングという人は、バッファロー・スプリングフィールドやCSN&Yというよりも、ボブ・ディランやジョン・レノンに近いような気がします。でも、彼らともし比較するとしたら、圧倒的にニール・ヤングはカッコ悪い。というか、作られた所がない。矛盾するけれど、だからカッコイイのです。彼は生まれっぱなしと言うか生みっぱなしと言うか、それがどんな作品であるかに関わらず、自分自身のその時に持っている感覚や曲をストレートに発表する事で、自分自身と戦うアーティストなんだと思います。どんな場所からもはみだしてしまうこの人の感性は、まさにロック界のヒッピーとでも言うべきもので、いろいろな場所で、いろいろな人達と溶け合いながらも決してそこに留まらず、現在に至っても常にどこかに新しい道を模索している様に感じます。だから彼の呼ばれ方は、30年前には「ヤング・ジェネレーションのアイドル」だったり、ちょっと前までは「グランジ・ロックの父」だったりもするのです。
  このアルバムが30年の時を経ても、未だにロック・オヤジのバイブルであり、いろんな世代にも受け入れられている理由は、彼自身の生き方から滲み出てくる、自分に正直であり続けることの痛みや、そこから生まれる優しさ、そしてカッコ悪さ=カッコ良さみたいな物を聴く人に感じさせるからだと思います。
  この『After the Gold Rush』は1970年にリリースされた、一家に一枚シリーズの中に入るべき名盤。バッファロー・スプリングフィールド/CSN&Yという斬新で実験的なグループでの活動の中で、新しいロックの立役者の1人であった彼がこのアルバムを作っていたのは、まだCSN&Yの活動中だったという事を知ると、改めてニール・ヤングという人の独自性が浮かんできます。そしてこのタイトルからは、まさにゴールドラッシュの様だった60年代後半「ロック黄金時代」の終わりを、自ら宣言するかのような響きが感じられます。この2年後、かの有名な『Harvest』を彼が生み出す事を考えると、彼のこの時の選択は間違っていなかった、というよりも、彼が時代を牽引して行く礎になっていたのかも知れません。
  この原稿が出る頃には来日公演も終わっているはずですが、一度は生でロックし続ける彼を見てみたいと思っていたので、楽しみにしています。

 
ニール・ヤング
『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』

ワーナーミュージック・ジャパン
CD WPCR 2529
\1,700(税抜)


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