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ジョージ・ハリスン
『Brainwashed』


 どう書いてよいのかわからないアルバムです。最後にして最高傑作、という見出しをよく見るけど、なんだそりゃ?でも自分でもうまい言葉が見つかりません。
 またポールの話からで申し訳ないと思いつつ、僕の中ではタイミング的にも不可分なので書かせてもらうと、ポールの来日公演を見に行って思ったのは、凄い勢いでビートルズ・ナンバーを歌いまくってくれたポールに感動したのと同時に、「Here Today」を聴いたとき、そして「Jet」や「Band On The Run」の印象的なシンセのフレーズが聴こえてきた時に感じた、なんとも言えない喪失感のようなものでした。当然ジョンはもういないし、そしてリンダもいない。
 ライヴ盤の音源を聴いただけでは、どうしてポールが「Something」をウクレレ弾き語りなんていうやりかたでやるのかわからなかったけれど、ライヴを見てそれが正解だと思いました。ジョージを想い出にするにはまだまだ時間がかかるんだ、ということ。あの名曲をそのままやられたら、会場の少なくとも3分の2くらいは涙に暮れてしまうでしょう。そしてそれを僕達が求めるのは、なによりポールに酷過ぎる。
 そう思った直後に届いたジョージの最後のアルバム『Brainwashed』は、そんな心の穴ぼこを埋めてくれた以上に、元気をくれるアルバムでした。それは現役のアーティストとしての意思とプライドが詰め込まれた「生きた」アルバムだったからです。僕はガツンとやられました。これが死を目前にした人のレコードなのか!?これは決して遺作なんかじゃなくて、これから先に続くための道標のようなアルバムじゃないのか、と思います。ジョージならではの、鏡に映した自分と向き合うような深く澄まされた感覚と、それを何の化粧もせずに作品に投げ込む誠実さ、そしてそこから生まれるであろう疑問や矛盾、自分を取り巻く状況や、神をもアジテーションの対象に出来得るパワー。
 きっとこのアルバムは、僕がこの先何度となく聴いて、その度に何か新しいパワーをくれると思います。僕が彼のレコードを聴き続ける限り、ジョージは誠実で、クールで、シニカルな2枚目のロックン・ローラーであり続けるのです。そしてこのレコードを、ある意味ジョージよりもジョージらしいものにしてくれたジェフ・リンと、彼の息子でもあるダニーに感謝します。

ジョージ・ハリスン
『ブレインウォッシュド』
CD/東芝EMI
TOCP-67074 \2,427

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