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ブライアン・ウィルソン
『ブライアン・ウィルソン』

 この原稿が読まれる頃には、僕はきっと来日公演の余韻に浸ってもう一度このアルバムを聴きなおしていることでしょう。そして、また違う感動を味わっていると思います。
 ブライアン・ウィルソン。世の中に萬の神がいるとするなら、彼はきっと音楽の神様に選ばれてしまった人なのでしょう。サーフィン、自動車、ストライプのシャツに健康的な笑顔。永遠の夏を象徴するような、豊かなアメリカの代名詞、"ビーチ・ボーイズ"の音楽的リーダー。そしてその代償となったのは、父親からの虐待や金銭トラブル、過酷なツアーによる肉体、精神的ダメージ、過剰なドラッグ使用による狂気、そしてメンバーであり、実の兄弟でもあるデニスやカールの死。
 彼が時に悲しいほどに美しく、あるいは楽しく、そして切ないメロディーを世界中にばら撒くために失ったものは、たった何千円かの音楽という「商品」のためにはいささか大きすぎるような気がします。普通に考えたら他のメンバーの誰よりも先に音楽から遠ざかってもおかしくない彼が、今でもそのメロディーを歌う理由は何なのでしょう。それは今でも(今だから)、彼の音楽を求めている人がいるということと、それと同じ位に強く彼自身も音楽を必要としているからだと思います。
 神様がいるなら、と思う所以は、それでもなお彼は音楽を作り続け、そして日本までそれを奏でるためにやってくるという事実があるからです。きっと彼にとって音楽を創ることはお金を稼ぐための手段ではないのです。
 伝説となって、もう音楽を奏でることのない数多くのポップスターたちのなかで、今でも音楽を続けているという事が、彼がきっと神様に選ばれた人だと思う理由です。何が残って、何が消えて行くのかはまさに「God Only Knows」というところでしょうが、僕はその神様を信じていたいと思います。

ブライアン・ウィルソン
『ブライアン・ウィルソン(デラックス・エディション)』
CD/ワーナーミュージック・ジャパン
WPCR-10787 \2,400

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R&R LIBRARY 第24回
2001-09
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