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ポール・マッカートニー
『夢の翼〜ヒッツ&ヒストリー』

 凄く月並みですが、僕はビートルズが好きです。多分、「どんな音楽が好きなの?」と言われてまず思いつくのはきっとビートルズです。子供の頃は曲も声も、ヒゲをはやしてもあんまり怖くないルックスも、ポールが一番好きでした。でも僕はあんまりこういう原稿とか、コメントのようなものにビートルズのことを書いたりしたことがありません。何故かと言うとうまく説明できないから。それは子供の頃から聴いていたせいで、客観的に見られないからだと思います。それは何か、外国の人に日本の良いところを説明するような感じなのです。「寿司はうまい」とか、そんなことしか言えなかったりして情けなくなります。
 でも、ポールの曲を聴いていると、個人的に思い出すものとか風景みたいなものがあります。「レット・ミー・ロール・イット」は来日公演の時のことを、「マイ・ラヴ」は、高校生の時に溜まり場になっていたレコード屋の店長を思い出すし、「メイビー・アイム・アメイズド」を聴くと、ビデオでみたライヴ映像の画質の悪さを、「心のラヴ・ソング」は、最初に手に入れた偽物のバイオリン・ベースで真似してみたことや、そのベースを譲った友達のこと。記憶っていうのは不思議なもので、ふとしたきっかけですっかり忘れていた、しかも別にどうって事のない情景を思い出したりします。その鍵になっているのが、僕の場合音楽だったりすることが多いです。
 考えて見ると、そこまで人の生活の中に入り込める音楽は凄いと思います。別にポールはそんなことを考えて作ったわけじゃないと思うけど、僕にとってはいろいろな記憶の中に彼の曲がセットになっているのです。POPであるというのはきっとこういうことなんだ、と改めて感じたBEST盤です。

ポール・マッカートニー
『夢の翼〜ヒッツ&ヒストリー』
CD(2枚組)/東芝EMI
TOCP-65746〜7 \3,333

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R&R LIBRARY 第23回
2001-08
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