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オリジナル・サウンドトラック
『Hi Fidelity』

 失恋するから音楽を聴くのか、音楽を聴くから失恋するのか、というひどく視野の狭いひとりごとから始まる映画『ハイ・フィデリティ』を見てきました。というのも、この映画の舞台はレコード屋さん。しかもマニア向けの中古盤専門店。そこを経営するぱっとしない30男の恋についてのストーリー。僕はなにかの雑誌でこの映画のことを知ったとき、あまりにもヒットとは縁の無さそうな舞台設定に、「こんな映画、一体誰が見に来るんだろうか」と思うのとほぼ同時に、「自分は絶対に見に行く」とも思っていて、久しぶりに映画館に足を運んでみました。行ってみたら若いカップルからサラリーマン風のおじさん、外国の方まで多種多様なお客さんで満席状態。きっとこんなことが起こるのは東京だけのような気もするんだけど、混んでる映画館っていうのもなんだか期待に胸膨らむ感じで良かったです。
 さて本題。なんでもかんでも「TOP 5」のランクをつけてしまうレコード狂いの主人公の「別れのTOP 5」。その1位から5位までの恋を検証して行くというストーリー展開は、その手法そのものが、典型的な音楽に取りつかれる人達がたどるプロセスに似ていて笑えます。その他「夢の職業TOP 5」、「彼女の良いところTOP 5」、「A面1曲目のTOP 5」など、なにかにつけてTOP 5が登場するんだけれど、個人的には、店長のガール・フレンドからの訃報を聞いた店員2人が始める、「彼女のお父さんに捧げる死の曲TOP 5」は爆笑でした。マニアックな部分はさておき、僕がとてもうれしかったのは、この映画が基本的にはまともな、というか、音楽なんか知らなくても、恐らく中古レコード屋になんか一生縁が無いような人が見ても、すこぶる楽しめる内容を持った作品だったこと。
 映画の主人公なんてものは大体凄く現実感のある状況下の人達(例えばお父さんだったりOLだったり)か非現実的な人達、(例えば刑事とかパイロットとか)が多いのに、この映画のスターは何を間違ったか中古盤屋!なのです。僕やこのコラムを毎回読んでくれているような人にはとても現実感のわく設定かもしれないけれど、こんなに難しい人物設定をよくぞ選んでくれたものです。世界初のレコード屋映画ってところでしょうか。僕的には、もうそれだけで充分。
 レコード屋独特の匂いがしてきそうな店内セットを始めとする凝った作りこみや、店員や客の完璧なキャスティング(こういう奴いる!いる!と本当に思っちゃう)、流れる曲はもちろんのことセリフのやり取りやそこに隠されているユーモアには、作り手が持っている音楽への愛情と尊敬が最大限に映されていて、うれしくなります。帰り際にパンフレット(って言うのかな?)まで買っちゃいました。大体値段が高いのにろくでもない物が多いので、僕はあまりそういうものを買ったりすることは無いんだけれど、それは7インチシングルのスリーブみたいな仕様になっているとても心惹かれるパッケージのもので、良くみたら、HOWのジャケットも好意で作ってくれた友人デザイナー氏の作品でした。なんだかうれしい反面、自分が引っかかる物の視野の狭さにも気づく1日でした。

オリジナル・サウンドトラック
『ハイ・フィデリティ』
CD/Hollywood
AVCW-13027 \2,427

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R&R LIBRARY 第19回
2001-04
Groovin'
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