デニス・ウィルソン
『パシフィック・オーシャン・ブルー』
ビーチ・ボーイズのドラマーであり、ブライアン、デニス、カールの3兄弟の中心にいたデニス・ウィルソンの、1977年に発売されたソロ・アルバムが再発されました。デニス・ウィルソンという人はビーチ・ボーイズのオリジナル・メンバーの中で唯一サーフィンをしたり、タフでワイルドなルックスと自由奔放なイメージでマイク・ラヴと共にバンドの明るく輝くイメージを牽引し、内省的なブライアンやカールとは全く違うキャラクターとして知られていますが、やはり兄弟、素晴らしい才能のあるアーティストだったことがこのアルバムを聴けばわかります。男らしいハスキーな歌声とは裏腹に、その楽曲の中にはどこか表面からは伺い知ることの出来ない繊細な心の影のようなものが垣間見られて、バンドの中のドラマーのソロというよりもひとりのシンガー・ソングライターのアルバムとして素晴らしい作品です。
「パシフィック・オーシャン・ブルー」というタイトルのこのアルバムですが、僕は聴いているとキラキラと輝く青い海ではなく、地上からは見ることの出来ない海の中から水面を眺めているような気分になります。アルコールやドラッグに溺れ奔放な生き方を貫いた結果、最終的には酔って飛び込んだ海から戻らず、兄弟の誰よりも先に他界してしまったデニスですが、兄であるブライアンがスタジオに籠り、その繊細を極めた感情を「ペット・サウンズ」に込めたのに対し、デニスは最後まで海を離れず、ビーチ・ボーイであり続けたことを思うと、さらにこのアルバムの味わいが深まります。
今回の再発では今まで発表されていない幻のセカンドアルバム「Bambu」の音源や、当時の貴重なセッションの音源などが沢山収録されていて、ビーチ・ボーイズ・ファンにとっては待望の再発だと思いますが、シンガー・ソングライター好きの方にも是非おすすめの1枚です。
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