ロバート・プラント&アリソン・クラウス
『レイジング・サンド』
まず、ジャケが良い。思わずジャケ買いしたくなる良い写真。誰かの家やお店にこのジャケットがさりげなく置いてあったら、僕はそれだけで親近感を持ってしまうでしょう。このいい雰囲気の二人ですが、ロック界のカリスマ、あのレッド・ツェッペリンのロバート・プラントと、ブルー・グラス界の歌姫、アリソン・クラウス。ハード・ロックとブルー・グラスという全く想像のつかないジャンルのコラボレーションで生まれたこのアルバム、それぞれのファンの間では賛否両論があるみたいですが、あまり聴く音楽をジャンル分けしない僕にとってはストライク・ゾーン真ん中に来るような素晴らしい作品です。内容は激渋なカヴァー集で、正直、誰に勧めたらよいのかわからない程に地味ではありますが、シングル・カットされた「gone gone gone」が今年のグラミーのBest Pop Collaboration With Vocals を受賞するなど、内容は折り紙付き。まさに「引きの美学」を感じさせてくれる大人の1枚です。
僕の中でのロバート・プラントはハイ・トーンでシャウトするイメージだけが強くあって、レッド・ツェッペリンの中ではどうしても他のメンバーの方に音楽的な魅力を感じてしまっていたのですが、このアルバムを聴いて考え方が変わりました。抑制の利いた渋い声で歌われる名曲の数々は、ロバート・プラントのヴォーカリストとしての懐の深さをじっくり感じさせてくれます。自分のルーツを守りつつ、けれどもそこに執着することなく自然に溶け合うアリソン・クラウスの歌声も素晴らしく、見事なコラボレーションと言うほかありません。原曲がシンプルなだけに、ともすれば凡庸なサウンドになってしまうところを、絶妙なさじ加減で洗練されたサウンドを作り上げるT・ボーン・バーネットの音作りにも脱帽です。
このアルバムからは音楽に対する深い理解と愛情を持ってキャリアを重ねて来た、本物にしか出来ない風格や品のようなものが漂ってきて、まるでモノクロのフィルムのようなノスタルジックで親密な空気感があります。派手な演出や押しの強いサウンドが溢れる中に、多くを語らないことで初めて伝わるものがあることを、僕たちに教えてくれる一枚です。
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