カーペンターズ
『青春の輝き〜ベスト・オブ・カーペンターズ』
今年で契約から40周年を迎えるというカーペンターズ。それに合わせて新しいベストが編集されたり、邦楽アーティストがカヴァーしたトリビュートアルバム(これも素晴らしい!)も発売されて、また耳にする機会が増えました。そんなわけで、日本で300万枚を超えるセールスを記録したと言うこのベスト盤を改めて聴き直してみました。怒濤の名曲の嵐!きっとこのアルバムの中に入っている曲を一曲も耳にしたことがないという人はいないと思います。
カーペンターズの魅力はカレンの美しく、そして憂いを帯びた唯一無比の歌声と、その声を最高に引き立てるリチャードのアレンジにあるというのは定説ではありますが、改めて聴き直すとその見事な職人技に感服します。ポップスの基本セクションであるドラム、ベース、ギター、キーボードという編成を大きく超えて、ストリングスやホーン・セクション、複雑なコーラス・ワークがなどが多用されたそのアレンジは、ひとつひとつの楽器はシンプルでありながら実に見事に構築されていて、全てがカレンの歌声の素晴らしさを最大限に生かす役割を発揮しています。リチャード自身の曲をはじめ、バート・バカラック、レオン・ラッセル、ロジャー・ニコルズなどの手による素晴らしい楽曲に、ジャズ、ロック、カントリー、クラッシック、R&Bなど、誰もが受け入れやすいルーツ・ミュージックのスパイスを混ぜ合わせ、洗練と言う器に盛りつけたようなアレンジは、まるで名シェフの手による斬新な料理のようでもあります。
世界中の人々をその歌声とサウンドで癒し、魅了した彼らですが、カレンは拒食症や過食症という摂食障害の影響で32歳の若さでこの世を去り、同時期にリチャードも薬物中毒に陥るなど、その最後は決して幸せなものではありませんでした。伝説と呼ばれるアーティストにまつわるエピソードとしては充分な話ですが、どんな形であれ、もしカレンが生きていたら、もう一度その歌声を聴くことができたかも知れないと思うと複雑な気持ちになるのは自分だけではないはずです。
カレンはもうこの世にいないにも関わらず、今でも多くの人たちの心に響き続けるカーペンターズの作品は、まさに時代を超えたスタンダードと言えるでしょう。いろんな音楽が溢れている今の時代、そのことが逆に音楽を人から遠ざけているような気もしていますが、もし何を聴いていいのかわからない、という人がいたら、間違いなく最初に勧めるアルバムの1枚です。 |